
自動車補修用塗料事業から工業用塗料事業へ
1996年4月に入社し、R&Dで水性塗料用の樹脂研究に携わりました。翌年、自動車補修用塗料事業に配属になり技術担当としてウレタン塗料(※1)の研究開発で合計13年経験を積み、2010年4月に工業用塗料事業の技術担当となりました。現在は日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社の技術担当として建機や農機で使われるウレタン塗料をメインにお客様のラインで発生する不具合対応も含めた研究開発に携わっています。工業用塗料の範囲は広く、建築用塗料と自動車用塗料以外のすべての塗料が含まれます。そのため、お客様の幅広さ(顧客数の多さ)、開発期間の違い、塗料種類の多さなど、これまでの自動車補修用塗料とは違う部分もあり、当初は自分の経験を活かせるか不安もありました。

お客様の声がダイレクトに届く工業用塗料
工業用塗料事業へ移動して大きな違いの一つがお客様との距離感でした。技術担当として、実際の塗装シーンでの不具合や塗装状況を直接知ることができ、お客様の反応がダイレクトに分かります。移動後2年目の不具合対応で、これまで培ったウレタン塗料の知識や経験を元に塗料を改良し不具合を解決した時、お客様からとても感謝されました。この経験からお客様の評価や反応が分かりやすいことが工業用塗料の厳しさでもあり、現場の声から塗料を開発する大きなやりがいとなりました。自身の経験に基づいた、塗料の素材知識や技術知識に助けられる一方で、種類の多い工業用塗料に対応するためには、個人の経験や知識のみでは難しい側面もあります。新しい知識のアップデートはもちろん、経験のない塗料素材でも、メンバーとのコミュニケーションによる知識共有から、チームとして結果に結び付けていくことを意識しています。

データ活用で新しい工業用塗料開発を目指す
工業用塗料は塗装する部品の素材による違いや塗装設備の違いなどにより塗料の仕様が変化し、ここに色の違いも加わると、開発する塗料は無限に増えていくことになります。一つ一つの不具合に対応する塗料開発も重要ですが、塗料の新規開発では“幅広い要望に応えられる”塗料も目指しています。チーム内では仕事の結果報告やディスカッションの実施により技術の共有を進めています。また個人でのデータ蓄積はされているものの、それらを集めたデータの解析や活用は不十分で、社内ではデータ活用に向け整備が始まったところです。チャンスがあればデータを数値化するメカニズムの研究などにも携わりたいと思っています。今はメンバー内で知識や経験をしっかり共有し、性能・コスト・サービスの3つを十分に満たすことでお客様の声に応え続け、将来的にはデータ活用により最短でベストパフォーマンスの塗料を開発することが理想です。

※記載内容および所属役職等は掲載当時の情報です。