長期的な目標を設定し、そこに至るまでの「中期マイルストーン」として策定
当社グループは2021年3月、2023年度を最終年度とする3ヵ年の「新中期経営計画(2021-2023年度)」を発表しました。今回の新中期経営計画は、次の3つの方針に基づいて作成しています。
第一に、新中期経営計画の策定に当たり、各パートナー会社のリーダーに主体的な参加を求めました。これは、アカウンタビリティを明確にするとともに、参加意識を高めることによってグループ総合力を最大化し、計画の実現可能性を高めるのが目的です。
第二に、新中期経営計画に加えて、当社グループの“Purpose”を策定しました。各パートナー会社におけるそれぞれのミッション・ビジョン・バリューに基づく自律的経営を尊重する一方、グループ全体を貫く存在意義を示すものとしてPurposeを位置付け、非常に多様な構成員からなる当社グループがPurposeに込められた共通の価値観のもとで事業を遂行しようという試みです。
第三に、新中期経営計画の位置付けです。現在のような変化の激しい経営環境においては、常に5-10年先を見据える視点が重要となります。そのため、新中期経営計画は長期目標を設定し、そこに至るまでの「3年後のマイルストーン」と位置付けています。
当社グループは、パートナー会社とともに“Power of Teamwork”を発揮しながら、新中期経営計画に盛り込まれた成長戦略を各地域・事業で推進することで、持続的成長を確固たるものにしていきます。
当社グループの2024年度以降の長期的な目標として、売上収益のCAGR(年平均成長率)で「1桁台後半」を設定しました。ベンチマークとしている大手競合他社は同4〜6%であることから、それを超えることを目標としています。また、営業利益およびEBITDAのCAGRは、売上成長に伴う限界利益の貢献によってマージンを向上させ、売上成長を上回る利益成長を目指します。
3年後のマイルストーンとしては、2023年度に売上収益1兆1,000億円、営業利益1,400億円、EPS(株式分割前)225円を目標とし、売上収益CAGRは10%プラス、営業利益率は2.7ポイント改善、EPSは25%増加させます。
新中期経営計画の策定方針
① パートナー会社の主体的参加による中期計画策定
グループ総合力の最大化による実現可能性を確保すべく、パートナー会社が中期計画作成過程に参加し、グループとしての計画を策定
② グループ共通の“Purpose”を策定
パートナー会社の自律性とアカウンタビリティを尊重する一方、日本ペイントグループの存在意義を示す“Purpose”を策定
③ 長期的視点を見据えつつ、中期マイルストーンとして策定
常に5-10年先を見据え、事業の実態の変化に対応して経営目標を更新する一方、本中期計画は当面の3年間のマイルストーンとして策定
新中期経営計画(2021-2023年度)
長期目標に至るまでの「3年後のマイルストーン」
財務計画

- 一過性費用除く
- EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失
- 親会社に帰属する当期利益の目標値は、営業利益に想定実効税率を乗じて算出
- 為替レート前提 円/米ドル:106.0 円/人民元:15.7 円/豪ドル:75.0 ナフサ価格:40,000円
- circa:約
- 2021年1月25日付増資による増加後の株式数をベースに算出(期間按分除く)
長期に目指す姿

地域・事業戦略(概要)
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中国を含むアジア・トルコなどの高成長市場では、 マージンを確保しつつ、売上収益拡大により利益を成長 |
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安定成長市場のオセアニアでは、 市場成長率を上回る売上・利益成長を確保 |
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日本では、中長期的な観点から設備更新や合理化投資を実施。 競争優位性と生産性向上を実現するとともに新需要創出を図る |
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自動車用事業は、生産台数の回復を想定し、顧客ニーズをグローバルベースで捉え、 技術力の向上・品質保証体制の強化によるシェア拡大・新規取引獲得を目指す |
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DuluxGroupやBetek Boyaが有するSAF※1やCC※2、ETICS※3などの 経験を活用し、塗料周辺事業を中国・アジア地域で展開 |
- Sealants, Adhesives & Fillers(密封剤、接着剤、充填剤)
- Construction Chemicals(建設化学品)
- External Thermal Insulation Composite System(断熱材)
新中期経営計画を達成するための戦略を地域・事業別にご説明します。
- 世界最大の市場である中国では、汎用における強固なブランド力や販売網、不動産ディベロッパーとの提携関係を生かして、市場シェアを高め、毎期10%前後の売上成長を果たしていきます。競争環境の激化に伴いプロモーション費用などの増加は見込まれるものの、増収効果によりマージンは維持していきます。トルコは、人口増加とGDP成長が期待できることから、マルチブランド戦略によってシェア拡大を図るとともに、ETICS事業の強化やトルコ近隣の国外への展開で、毎期10〜15%の売上成長を目指します。
- オセアニアは、安定したGDP成長や人口増加を背景に、補修・改修を中心とした市場拡大を見込んでおり、同市場への展開を加速します。また、デジタルプラットフォームの活用による顧客エンゲージメントの向上などで、毎期5%前後の売上成長、利益率の向上を図っていく計画です。
- 日本は、汎用市場において環境意識の高まりを背景とした水性塗料の販売機会が増加しているほか、抗ウイルス塗料などの新規需要が拡大しているため、抗ウイルス製品などの拡充、営業・プロモーションを強化していきます。また、DXを活用した生産自動化の推進などにも取り組み、日本事業全体で毎期5%前後の売上成長、マージンを改善していきます。
- 自動車用事業は、2023年度には自動車生産台数はコロナ前の水準に回復する見込みであり、当社グループとしては、NIPSEA中国の営業力と日本の技術開発力を活用して中国で大きくシェアを拡大するとともに、欧米でも着実に優位性を確保することで、毎期5〜10%の売上成長を計画しています。
- 塗料周辺事業は、顧客ニーズの高まりに伴い世界各地で拡大を見せており、有望な市場と見込んでいます。当社グループでは、DuluxGroupが保有する接着剤「Selleys」や、Betek BoyaのETICSなどについて、「力強いパートナーシップ」を通じてグループ内展開が可能と考えています。また、NIPSEAのProject事業でも、顧客サイドから塗料周辺製品への需要が高まっており、既存の流通網やパートナーシップを活用するとともに、戦略的な投資を進め、毎期5〜10%の売上成長を目指していきます。
このように、2023年度は、いずれの地域・事業も売上成長を想定し、利益率は維持もしくは改善を図ることで、全体として、業界内でもトップクラスの高い成長を実現していきます。
事業別売上成長イメージ

地域別売上成長イメージ

- 短信ベース
- 現地通貨ベース
- プロフォーマ値
- 「新規連結(インドネシア・インド)」を含まない一方、表内には記載のない「その他地域の自動車用等」が含まれるため、各項目合算値と2020年度売上実績は一致しない。2021年度以降の数値には、「新規連結」および「その他地域の自動車用等」がいずれも含まれる
- 統合報告書2021 オンライン版