質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏
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A1中期経営計画の目標値は必達として念頭には置いていますが、数字を合わせたわけではありません。2023年4月7日開催予定の中期経営計画進捗説明会にて改めてご説明しますが、策定当時とは原材料価格や為替の状況が異なる一方、Cromology社やJUB社は計画に含んでいませんでしたので、本来であれば目標値から上振れるべきとも考えられます。為替レートは2022年よりも円高で想定していますが、各地域での市場シェア向上や製品値上げの浸透による増収効果、原材料費率の改善、一過性要因の解消によって、最終的には営業利益目標1,400億円は十分に達成可能と見込んでいます。
例えば、中国においてはコロナ規制の緩和により経済活動が再開しつつも、春節明けであることから、最需要期である3月の見通しも不透明感が残っていますが、1,400億円は必達であり、社内ではさらに高い目標を持っています。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻のように、ここ数年はさまざまな想定外の事象が発生しています。これらを全て予想できない中でも十分に達成可能な水準であると判断しました。
なお、トルコ地震については、現在のところ当社ビジネスへの直接的な影響はありません。今後被害状況が明らかになる中で、影響がある場合はお知らせしますが、現時点では計画の大幅な修正の必要性は見込んでいません。
質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏
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A1説明資料P9の通り、2023年第1四半期はTUC、TUBともに前年同期と比べてやや軟調と予想するものの、市場シェアの拡大を目指しています。また、通期の市況見通しについては、TUCは需要が根強いと予測し、前年よりもやや好調の黄色としています。一方、TUBはほぼ前年並みと見込んでいます。TUBは+0~5%増収と予想し、若干の市場シェア拡大は見込むものの、基本的にはTUCでのシェア拡大を目指しています。
競合状況については、TUCは当社ブランドが非常に強く、市場シェアも非常に高い中でさらなる拡大を目指しています。当社は特級や1級都市で市場シェアが元々非常に高い一方で、競合他社が強みを持つ3~6級都市でも重点的に拡販を進めており、手応えを感じています。今後も競合他社に負けずに市場シェアの拡大に努めていきます。
一方で、TUBは市況と顧客状況を踏まえながら、選択的にシェア拡大を目指す必要があります。大手ディベロッパー向けで拡大を目指すより、販売店向けに注力し、大規模修繕などを含めた塗り替え需要を確実に獲得していきます。こうした計画を踏まえ、TUCは+10~15%、TUBは+0~5%の増収をそれぞれ見込んでいますが、さらなる増収も目指しています。 -
A2現地の感覚としては、ロックダウンなどの影響を2022年9~10月に受け、多くの機会損失があったものの、その後のリバウンド需要も含めて2023年のTUC市況は決して悪くはないと見立てています。物流面では、2022年に特級や1級都市において混乱があったものの、現時点では他都市も含めて解消されてきたと考えています。
2022年の市場シェアの詳細は中期経営計画進捗説明会でご説明する予定ですが、基本的にシェアの低下はないとお考えください。
質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏
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A1説明資料P6では、自動車用なども含めたNipsea中国全体での営業利益率を示しています。原材料価格が安価だった2019~2020年頃との単純比較は難しいものの、営業利益率は一過性要因を除けば2021~2022年に改善傾向を示しています。
また、2023年はTUCにおいて3~6級都市におけるエコノミー製品の拡販と市場シェアの拡大を図るとともに、製品値上げの通年寄与による貢献を見込んでおり、製品ミックスの影響はあるものの、増収によるオペレーティングレバレッジの効果や原材料価格の低下などで営業利益率の改善を見込んでいます。 -
A2具体的な水準をコメントするのは差し控えますが、当社としてはより高い水準を目指しており、その意味では2023年の営業利益率が+2%以上改善すると見込んだとしても、まだ足りないと感じています。競合他社もいる中で簡単ではありませんが、市場シェアの拡大と利益成長のバランスを取りながら施策を実行しています。
値下げ要請については、TUBや工業用では今後可能性はある一方で、DIYを含めたTUCでの値下げ圧力は意外と強くないと見立てています。1人当たりの可処分所得に占める塗料の割合は決して高くないため、価格感応度が強い製品ではなく、ブランド力が重要になってきます。競合他社が値下げ攻勢に打って出てくれば当社も対抗策として検討せざるを得ませんが、短期的に見ると値下げ圧力は比較的少ないと考えています。
質問者:コーティングメディア 近藤亮吉氏
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A1第4四半期の営業利益率は、特別退職金の22億円を戻した実質ベースで6.1%、さらには、2021年にはなかったNPCS(日本ペイントコーポレートソリューションズ)費用を戻したベースで6.9%でしたが、10%は十分に目指せる業態であり、競合他社も同様の水準と考えています。
ネクストキャリアプランは、22億円の特別退職金が2022年にその他の費用として営業利益に影響した一方、今後の人件費縮減効果は年間で約20億円となる見込みです。すなわち、今回の特別費用が1年でほぼ回収されることになります。
ただし、ネクストキャリアプランは人件費削減が目的ではなく、これまでの非効率な業務を見直す意識改革を促し、社員がより高い付加価値に焦点を当てられるようにするのが目的です。したがって、人件費縮減効果だけでなく、生産効率や付加価値を向上した上で、必要な製品値上げはしっかり行い、市場シェアを拡大することで、2023年は全セグメントで利益率の大幅な改善を目指したいと考えています。
質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏
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A1豪州はDIYが中心の市場であり、コロナによる特需なども落ち着いた中、販売数量はやや軟調と見込んでいます。このような事業環境を前提に、製品値上げによる売上成長を確保しつつ、市場シェアの拡大を図ります。DuluxGroup社は、これまでもインフレに伴う値上げだけではなく、積極的な値上げを実施しながら市場シェアを高めており、既に50%を超えているシェアを60%に引き上げるべく着実に取り組んでいます。
米州では、金利上昇が住宅市場に影響を及ぼし、引っ越し件数が減少するなど、DIY需要は伸びにくいと見込んでいます。先日決算を発表した大手競合他社の業績見通しも厳しめに見積もっていました。Dunn-Edwards社は、特に西海岸のカリフォルニアにおいて確立しているハイエンド・ブランドを武器に市場シェアを維持したいと考えています。
欧州については、豪州と同様に新築よりも塗り替え需要が大きい市場です。2022年は特にDIY市場がコロナ特需の反動により低迷し、2023年も販売数量はマイナスとなる見込みです。Cromology社が強みを持つプロ向け市場も販売数量はマイナスとなる中で、市場シェアの拡大を図っていきます。
全体としては、市場シェアを落とすことなく、収益性と両立させながらさらなる上積みを実現していく計画です。なお、市場シェアだけを追求して安売りすることは考えていません。 -
A2販売数量はあまり伸びないと見込んでいます。市場の販売数量ベースではマイナスを見込む一方、2022年に製品値上げを実施した効果が2023年に通年寄与することで、売上収益はプラスになるイメージです。製品値上げや市場シェア向上によるプラス貢献の見込みなどの前提を説明資料P6-7に記載しています。
質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏
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A1説明資料P5にある「増収効果や原材料費率の改善」の大枠をご説明します。①売上収益が+10%近く伸長することでの売上増収分1,300億円に対し、営業利益率10%なので、増収効果による増益は約130億円、さらに②原材料費率の低減などによる営業利益率の改善+1%で約130億円とすれば、①+②で260億円の増益となる計算ですが、営業利益率の改善が通年では寄与しない可能性などを保守的に見積もって約210億円としています。
もっとも、営業利益率10%という予想値については、地域によって10%台半ばを出している状況を踏まえると、全体として物足りないと考えています。ガイダンスは必達目標として開示していますので、これを上回る数字を目指していきます。 -
A2ガイダンスを開示する際は、いつもその時点で手堅い予想を示していますが、前提が大きく動いた場合には修正せざるを得ないことをご理解ください。
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A32021年頃から、いわゆる不動産ディベロッパー向けの債権管理を徹底しています。具体的には、取引を継続する際には代金引換取引としているほか、販売店を経由させるなどの対応を進めており、債権回収リスクにつながるものは極めて限定的です。このため、経済情勢による不確実性はあるものの、引当金を100億円単位で計上するような可能性は想定していません。
他方、補助金など業績にプラス貢献する要素についても、予想に含めていません。
質問者:大和証券株式会社 阪口和輝氏
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A12022年第4四半期の日本は、製品値上げと販売数量の増加、自動車生産台数の回復もあり、前年対比でも回復傾向が見られます。当社事業は販売数量が増加することでオペレーティングレバレッジが効くことから、限界利益の貢献でプラスに寄与する傾向にあります。また、説明資料では明示していませんが、船舶用の回復も要因の一つです。日本の船舶用には海外の売上収益も含まれており、グローバルで収益が改善しています。
2023年の見通しについても、さまざまな見方があると考えています。自動車用の第1四半期と通期の市況を踏まえると、当社が市場シェアを落とさない前提において、もっと伸び率があっても良い一方で、実は車種によって業績への影響度合いが変わります。売れ筋の生産ラインに当社が採用されているかどうかなど、一般消費者の動向によって左右されてしまうことなども踏まえ、若干保守的な見立てをしています。
汎用や工業用についても、製品値上げと販売数量の増加の双方の効果があります。例えば汎用は、天候の影響を受けやすいなどの不確定要素がある中で、業績予想は必達目標として超過達成を狙っていきます。 -
A2基本的に増加する前提としています。
質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏
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A1詳細は差し控えますが、数値の前提は販売数量の増加と製品値上げの両方を含みます。
例えば、Nipsea中国では製品値上げも寄与するものの、エコノミー製品が増えることによる製品ミックスも含めた予想値となります。加えて、半製品や塗料周辺分野の販売なども含めた成長も見込むため、単純に販売数量の増加のみでは成長を測れないのが当社ビジネスの実態です。
インドネシアでは、販売数量の増加による市場シェアの拡大に加え、製品値上げの寄与もあることから、+15%前後の増収を見込んでいます。
トルコについては、引き続き高いインフレ率が前提となっており、販売数量の増加よりも製品値上げが主要因となっています。
これら以外の地域でも、販売数量が飛躍的に増える想定は基本的にしていません。
日本に関しても、前述の通り、市場シェアの向上を図りつつ、製品値上げの通年寄与により成長を狙います。 -
A22022年第3四半期の売上収益が非常に好調だったのは、製品値上げ前の駆け込み需要が発生したためです。11月時点では10月の景況感や製品値上げ後の需要感などの状況を踏まえ、第4四半期は想定よりも厳しいとお伝えしましたが、11-12月は結果的に順調に売上を伸ばし、第4四半期としては良い結果となりました。