2023年12月期 第1四半期決算 質疑応答要旨

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質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A14月の中期経営計画進捗説明会でもご説明の通り、中国汎用の第1四半期業績は3月の状況次第でしたが、結果として特にTUCは好調でした。2022年第1四半期は都市部でのロックダウン影響がある中、2021年第1四半期と比較して+28%増収と高い成長を達成しましたが、今期も前年同期比+19%増収と引き続き成長が続いており、改めてTUC事業の強さを感じています。

    TUCの増収要因としては、数量面での成長が中心になっています。価格面で伸びなかったのは、製品値上げの効果はあったものの、特級や1~2級都市よりも3~6級都市での成長が高く、エコノミー製品の売上成長がけん引したためです。なお、TUCでは当社の高いブランド力などもあることから、すぐに製品値下げする必要はないと考えています。

    中国の収益性が改善したことは非常に良かった一方で、中国は引き続きシェアを獲得していくべき市場でもあり、数量の増加と収益性改善のバランスを取りながら両立を目指していきます。

    TUBについては、前年同期比で減収が続いてきた中、今期は+5%増収と反転したのは非常に良かった点です。増収の要因は、TUCと同様に数量成長が中心となります。ただし、市況も回復傾向であり、原材料価格が下落している状況では値下げ圧力も出てくると想定しており、シェア拡大と収益性改善の両立を目指すTUCとは対応が異なります。

    4月以降の市場動向については、2022年の第2四半期~第4四半期で受けたロックダウン影響からの反動によって、どの程度の需要が戻ってくるかは予測し切れていません。ただし、2022年は非常に厳しい業績であったことから、2023年の通期ガイダンスは十分に達成できると見込んでいます。

  • A2その通りです。

  • A3中国経済は失業率の上昇などもあり、ロックダウンの解除によって需要が回復していくと楽観的に捉えるのは少しリスクがあると分析しています。適度な警戒心を持ちつつも、数量増加に伴うシェア拡大と、収益性の改善を目指しており、市場動向には常に注意を払っています。

    不動産市況については、不動産ディベロッパーも一時期と比べれば回復しつつあると考えており、どちらかと言えばポジティブに捉えています。

  • A4常に高い収益性を目指していますが、収益性ありきではありません。健全な警戒心を持って市場動向を注視しながら、状況によっては製品値下げなどにも機敏に対応し、数量成長と収益性改善のバランスを取っていきます。

  • A5競合他社の値下げ状況などにも左右されますが、当社の高いブランド力を生かして値下げを行わず、原材料価格の低下による収益性改善のメリットを享受していきたいと考えています。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A11点目については、当社は地域別の価格/ミックスを開示していませんが、ご想像の通り、地域別で様相が異なります。アジアは価格と数量の両面で貢献している地域が多い中、数量面で十分ではない地域も一部あります。例えば、インフレ下にあるトルコでは、圧倒的に価格面での貢献が大きく、数量はほぼ横ばいから、若干マイナスのイメージです。中国は製品ミックスの影響があり、思ったほど価格は上昇していません。日本は製品値上げが奏功しており、数量が若干足りない汎用や工業用でマイナスの影響を受けたものの、今後数量が回復すれば問題ない認識です。

    豪州は価格要因が大きく、米州も価格が中心で、数量は結構減少しています。欧米、豪州も含めた先進国は、数量面で厳しく、製品値上げで相殺している構図は、日本と同じです。

    2点目の原材料価格については、酸化チタンを含めて想定より上昇しておらず、今後は少し上昇する兆しはあるものの、需給はひっ迫していません。したがって、比較的安価な原材料価格の恩恵を4-6月も含めて享受できると見込んでいます。

    通年でみれば、やはり地域ごとに状況は異なるものの、需要の大きい第2四半期と第3四半期において製品値下げさえなければ、マージンのさらなる改善余地は十分あると見込んでいます。

  • A2BtoBは一般的に、原材料価格の動向で販売価格も調整せざるを得ない傾向があります。NIPSEA中国の汎用の中でも、TUBは製品価格を下げざるを得ないリスクはあり、シェアとの両立を目指している中で、値下げの必要のない場面ではなるべく値下げしない方針です。

    BtoCについては、グローバルでのDIYは製品価格に対する需要の感応度が高くない傾向にあるため、製品価格を下げることなく引き続きシェアを伸ばし、収益性との両立を図っていきたい考えです。競争環境にもよりますが、過去数年にわたって競合他社を含めて収益性が落ち込んできた中で、製品価格は比較的維持しやすいと想定しています。

    製品値下げの可能性については、引き続きマージン改善を目指す中で、第3四半期、第4四半期辺りで値下げ圧力が強まる可能性はあります。しかし、第1四半期においては、特に中国で非常に大きなマージン改善を実現することができました。

  • A3自動車用は顧客との関係性もあるため、コメントを差し控えさせていただきます。

質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1不安視されていた中国においてマージンの改善が進むなど、これまで取り組んできた結果が数値に反映されており、基本的に良い結果と捉えています。一方で、当社が常に上を目指す姿勢に限界はなく、今後も高い成長に向けて飽くなき追求を進めていきます。

    世界にはさまざまリスクがあり、例えば、中国経済の回復には引き続き波があると想定され、塗料消費にも影響が出る可能性があります。そうした中、当社としてどのようにシェアを拡大し、成長できるか?いかにリスクをチャンスに変えられるか?が重要と考えています。

    トルコにおいては、超インフレ会計の影響を受けながらも、当社は着実にシェアを伸ばし、製品値上げも実施してきました。大統領選挙後の状況によってはインフレや為替などに変化が生じる可能性があるほか、超インフレ会計の影響はインフレ率により変わるため、当然リスクと捉えています。

    米州・豪州・欧州などの先進国では、経済環境の変化が成長速度の変化につながり得る点はリスクと考えますが、他の地域において、そのリスクを補うことが可能と考えています。また、「アセット・アセンブラー」モデルのもと、自律的な成長とシナジー創出などにより、他の地域に頼らずとも、各地域で当初予算や目標を達成することは可能と見込んでいます。

    現在のような不確実性の高い状況下では、さまざまなリスクを常に意識していますが、当社の経営モデルや事業特性に鑑みると、こうした厳しい環境下でこそ真価を発揮できると実感しています。

  • A2当社事業に占める原材料の割合は大きく、原材料価格は大きなリスク要因になり得ますが、これまでの非常に厳しい原材料市況からは少し落ち着いた傾向にあると分析しています。当社は原材料価格の動向を常に注視しており、引き続き低価格での調達や価格高騰局面での製品値上げなどをグローバルで検討していきます。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1各事業の利益構造を開示していない中で詳細な回答は差し控えますが、営業利益率が改善した背景として、製品値上げの浸透や販管費の抑制、シェア、環境要因などが複雑に影響し合い、前年からの反動影響なども多少含まれていると考えています。

    第1四半期の営業利益率5.6%を底としながら、今後も改善を目指します。一部事業では引き続き製品値上げを実施している点や、人員抑制などによる販管費の改善などにより、第2四半期以降も市況の回復と併せて営業利益率は改善していくと期待しています。

    自動車用については、2018-2019年頃と比べると生産台数が戻り切っておらず、引き続き台数回復が進む中で、利益率の改善によるさらなる成長を目指します。

  • A2自動車用は販売数量の増加を見込んでいますが、数量・価格の両方で増加するのが理想です。汎用も販売数量がある程度増加する見込みですが、第1四半期は少し厳しい状況でした。

    説明資料では「その他」に含まれる船舶用でも、数量・価格の双方で増加を見込んでいます。船舶用はグローバル事業も含めて日本セグメントに計上していますが、アジア地域などでの製品値上げや拡販策が好調に推移しているため、利益改善に今後も貢献していくと期待しています。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1基本的には今の水準で決して満足することなく、いつでもさらに高い水準を目指していきます。

    かつてはTUCとTUBではTUCの方が利益率は高く、当時の売上成長率はTUCが1桁台に対して、TUBは30~40%あったため、営業利益率が低下してしまう可能性を懸念されていました。製品ミックスだけの観点ではその通りですが、実態としては、売上が増加する中でも販管費はある程度抑制できるためレバレッジが効く、つまり、粗利率が希薄化しても利益率は向上できると説明してきました。

    その後、コロナ影響や不動産市況の低迷を受け、TUCに注力した結果、ここ数年はTUBの構成比が相対的に小さくなり、粗利率の上昇が起きています。こうした傾向が今後も継続すれば、利益率はさらに拡大を見込めます。また、原材料価格の影響が緩和していく中、価格安定性があるTUCで利益率を維持すれば、NIPSEA中国全体でも利益率の拡大が可能だと考えています。

    ただし、当社は今後も中国でシェア拡大を目指しており、戦略的な価格設定の実施や、3~6級都市で事業を拡大する中でミックスが変化する可能性があります。そうした中で、例えば営業利益率15%を目標とすると、事業機会を逃すことにもなりかねないため、一律に1つの答えがあるわけではないことをご理解ください。

  • A2工業用と汎用ではビジネスモデルが大きく異なります。工業用はBtoBビジネスのため、顧客との交渉の中で最終的にどうしても収益性を確保できない場合は、撤退する選択肢も当社として持ち合わせる必要があります。一方で、汎用の顧客は幅広く、対応も異なります。汎用のうちTUBは顧客との関係性が非常に重要であり、一定の取捨選択をせざるを得ない状況に追い込まれたこともあります。

    それぞれのビジネスでいかにシェアと利益の両方を図っていくかを目指す中で、TUCはシェアが重要であり、引き続きシェアを伸ばすべきであるのに対して、TUBも含めたBtoBビジネスでは多少の取捨選択をせざるを得ないと考えています。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1東南アジアの事業については、当社プレゼンスがあまりないフィリピンやベトナムなどの地域では状況が異なり、スリランカなども厳しい状況です。

    一方で、プレゼンスがあるインドネシアやマレーシア、シンガポールなどは非常に堅調であり、安定的です。特にインドネシアはシェアと利益率の両方で堅調で、既に高い利益率をさらに上昇させているなど、非常に強い実感です。インドネシアでは2023年に大統領選挙が予定されており、それまでの経済は比較的安定すると想定しています。

    このように、地域特性によって様相は異なりますが、今のところは概ね堅調というイメージです。

  • A2コロナ影響から回復・正常化しつつあり、非常に良い事業環境の中でビジネスを獲得できる機会が十分にあるという状況があり得る一方で、中国ビジネスの難しさとしては、需要が低迷する可能性も常にあると想定しています。
    ただし、そうした可能性をどう見通すかより、シェアをさらに獲得するにはどうしたら良いか、需要を喚起するにはどうしたら良いかなどを考えることがより重要です。需要動向自体は当社戦略を変更する大きな要因にはならないため、愚直に販売し続けるしかありません。もちろん、需要が弱含むリスクには常に目を光らせています。

  • A3このトレンドが大きく変わらないことを願っています。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1BtoCで価格面でのリスクが顕在化しているかどうかは、一概には言えません。例えば、当社にとって3~6級都市は比較的攻め込む領域であり、販売店へのプロモーションも含めて、ある程度費用を投じていくことは十分にあり得ます。一方で、特級都市のプレミアム製品市場では、価格面でそれほど大きなプレッシャーがあるわけではありません。このように地域によって違いがあり、地域ごとの特性に合わせて対応するため、BtoC全般で価格面のプレッシャーが大きいわけではありません。

    当社としては、四半期ごとではなく、もう少し長期的な戦略でBtoCのブランド力を生かすことで、適正な利益率を確保しつつ、さらに成長することを目指しています。一方、BtoBは短期的な戦略も重要となるため、競合他社と競い合いながら、あるいは市場の動向などに合わせながら対応していきます。

    ただし、当社はBtoC、BtoBのどちらにも対応していくものの、どちらかと言えばBtoCでしっかり稼ぎつつ、BtoBでもシェアを落とさずに成長していくイメージとなるため、全体での利益率は今後も十分に向上できる余地があると見込んでいます。しかし、中国の経済情勢については一本調子ではないと分析しており、注意を払いながら取り組んでいきます。

  • A2都市別の数値は非開示ですが、3~6級都市でも成長しています。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1当社は、例えば、第1四半期では3ヵ月の実績と残り9ヵ月の見通しを見極めるなど、四半期ごとに通期計画と着地予想の確認をしています。その上で、通期計画と着地予想の差が売上収益で±10%、営業利益で±30%ある場合は適時開示ルールに基づき修正発表します。もう1つは、当初見込んでいなかったイベントの影響が大きい場合は計画を見直すべきと考えています。2022年の場合は、トルコにおける超インフレ会計の適用や中国における不動産ディベロッパー向けの貸倒引当金の計上が相当します。

    ガイダンスの見直し、修正を例年第2四半期に行うという考えではなく、その適否も含めて決定しています。第2四半期に見直すかどうかは今の段階ではお伝えできません。少なくとも、第1四半期の時点では適時開示ルールには触れておらず、残り9ヵ月においては、まずは当初計画達成を確実に目指していきます。

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